アイルランドのブラウン・ブレッドは特筆の価値があるのでここに記します。
私はパンはドイツがおいしいと思っていました。パンといってもフワフワで軽い 口当たりのものもあれば、持ったときにずしりと重いパンもありますが、ものを 食べるときは硬めのものをよく噛んで食べて満腹中枢を刺激してやるのがおいし い食べ方だ、と思っている私には後者のタイプのパンの方が好ましく、そういう 意味でパンはドイツがおいしいと申し上げております(余談ですが、米はやや硬 めに炊いた新米のコシヒカリがこの世の絶品です)。でも私はドイツでさえもア イルランドのブラウン・ブレッドほどおいしいパンは食べたことがありませんで した。はじめてアイルランドで自家製のブラウン・ブレッドを食べたとき、これ はアイルランドで食べる喜びとして世の中に広く認められるべきだ、という天の 声だと直感しました。
じゃあ、そのブラウン・ブレッドの正体は何物かというと、全粒粉で作られてい るんだろう、という誰にでもできる推測しか私にはできません。家庭で作るとき は水とか牛乳とか混ぜて焼くだけのブラウン・ブレッド・ミックスを使うのが手 軽でわりと一般的なようです。またbuttermilkという牛乳を使うのがポイントだ そうです。
外観はパウンドケーキそのものです。でも食べると甘くないし食感が全く違うの で、パウンドケーキでないことがわかります。なにがそんなにおいしいかという と、小麦の香ばしい香りはもちろん、中身の湿った感じと食べごたえのあるとこ ろが素晴らしいのです。
追記:そうそう、小麦の味が濃く、独特の酸っぱさがほのかにあります。
イギリスで、Irishホニャララだったか、Irishペケペケだったか忘れましたけ ど、まあそういう感じの商品名で市販されているのブラウン・ブレッドを購入し て試食してみたことがありましたが、一口食べてこりゃだめだと思ったものでし た。アイルランドでも同じ商品をスーパーで見ましたが、いつも売れ残っていた ような気がします。ブラウン・ブレッドはできたてが命です。市販のものや日の たったものは、我慢大会でもない限り、私はなるべく辞退するようにしておりま した。
アイルランドでの用が済み、イギリスに帰る日に、お世話になったアイルランド 人のご夫婦が私に、ブラウン・ブレッド持って帰れば、とおっしゃっていました が、やっぱりできたてじゃないとおいしくないので結局持ってきませんでした。 というか、私、またいつかアイルランドに戻るつもりになっていますから、また 来たときにおいしいブラウン・ブレッドを食べようと思っています。
| 一覧に戻る | 次を読む |
|---|
改版:
初版:1999年6月15日